
製本で失敗する原因の多くは、紙の選び方にあります。厚すぎる本文用紙は折丁が膨らみ、目の方向が逆の紙は完成後にページが反り返ります。紙の性質を少し理解しておくだけで、仕上がりが大きく変わります。
01 本文に向いた紙の厚さ
本文用紙の厚さは、坪量(g/m²)で表されます。手製本の本文には、70〜90g/m²程度の用紙が扱いやすいです。それより薄いと折丁を作るときに破れやすく、厚すぎると折り目が割れることがあります。
市販のコピー用紙は一般的に64〜80g/m²で、手製本の本文として使えます。ただし、コピー用紙は表面が滑らかすぎて、万年筆のインクが滲みやすい場合があります。書き心地を重視するなら、上質紙や中性紙を選ぶと長持ちします。
02 紙の目の向きを見分ける方法
紙には繊維の方向(紙の目)があります。縦目と横目があり、折り目と紙の目が平行になるように使うのが基本です。逆方向に折ると、折り目が割れたり、完成後にページが反り返ったりします。
紙の目の方向を確認するには、紙を縦横それぞれの方向に軽く曲げてみます。抵抗が少ない方向が紙の目の方向です。もうひとつの方法は、紙を少し湿らせること。湿らせると紙の目と垂直方向に反るので、目の方向がわかります。
03 表紙用の紙とクロスの選び方
表紙には、厚紙(ボール紙)にクロスや和紙を貼る方法と、厚手の和紙や洋紙をそのまま使う方法があります。ハードカバーの場合は2〜3mm厚のボール紙を使い、その上にクロスや紙を貼ります。
クロスは布目が細かいほど接着剤が染み込みにくく、きれいに仕上がります。和紙を表紙に使う場合は、楮(こうぞ)を多く含む丈夫なものを選ぶと、使い込んでも破れにくいです。
紙の選び方に正解はありませんが、素材の性質を知っておくと、失敗したときに原因がわかります。工房の材料販売では、製本に向いた紙を少量から試せます。